目次
1.埋込み型除細動器
とは
2.高周波カテーテル
アブレーション
3.心臓ナビゲーション
システムを用いた頻拍症の電気生理検査について
4.ペースメーカー
とは…
5.臨床心臓電気生理学的検査
6.外来で行なう不整脈の検査

2.高周波カテーテルアブレーション
洛和会丸太町病院循環器科/井上美穂

2-1.カテーテルアブレーションとは

2-2.不整脈治療におけるカテーテルアブレーションの位置付け

2-3.カテーテルアブレーションの手順

2-4.カテーテルアブレーションの合併症

2-5.カーテルアブレーションの実際




2-1.カテーテルアブレーションとは

頻脈性不整脈の治療を目的として、カテーテル先端の電極から種々の形のエネルギーを加えて心筋組織の一部を凝固壊死に陥らせて機能を消失させる方法である。
エネルギー源としては当初用いられていた直流通電は合併症のためにあまり用いられなくなり、高周波通電が主流となっている。すなわち、カテーテル先端の温度を高周波エネルギーにより50〜70℃まで上昇させ、目的とする心筋組織を焼灼する方法である。1979年より高周波エネルギーが使用されるようになり安全性が向上、および、1989年よりカテーテル先端の曲がりが手元で操作可能で先端電極が大きいもの(streerable,large-trip)が出現したことより成功率が向上したため、カテーテルアブレーションは急速に普及することとなった。



2-2.不整脈治療におけるカテーテルアブレーションの位置付け

不整脈治療におけるカテーテルアブレーションの位置付け
頻脈性不整脈の治療法には大きく分けて、薬物療法、外科治療、ペースメーカー治療、そしてカテーテルアブレーションがある。従来は、カテーテルアブレーションの適応は薬物抵抗性症例とされていたが、近年、高周波カテーテルアブレーションは多くの頻脈性不整脈の根治療法として確立した感があり、薬物治療と並ぶfirst line therapyとなっている。すなわち、薬物治療の問題点として、薬物による頻脈性不整脈の予防効果がカテーテルアブレーションに比較すると大幅に低く長期間服用し続けなければならない、催不整脈作用や副作用の危険性があることなどがあるため、心機能低下や肝腎機能低下例や妊娠を希望する若年齢女性など、薬物治療が困難な症例もカテーテルアブレーションの良い適応となっている。



2-3.カテーテルアブレーションの手順

1)通常の心臓カテーテル検査と同様、鼠径部および鎖骨下の血管周囲を局所麻酔。



2)X線透視下で電極の付いたカテーテルを数本心腔内へ挿入し、電気刺激を行ったり電気の流れを記録。

3)電気刺激や電位記録を行い頻脈性不整脈の機序を明確にした後、アブレーションカテーテル先端で電気の流れの記録を取りながら適切な通電部位を探す。





4)適切な通電部位が分かれば、カテーテル先端電極と体表面に装着した対極板の間で30〜60秒間高周波通電を行う。通電中、特に痛みなどは感じない。

5)有効な通電が行われたかどうかを同様の電気刺激や電位記録を行い確認する。




6)イソプロテレノール点滴静注下において電気刺激や電位記録を行って、アブレーション結果を確認する。

7)安静解除は、右心系のアブレーション後はシース抜去後約3時間、左心系アブレーション後は翌朝となる。

8)アブレーション施行後、2〜4日後に退院となる。

9)退院後は、一定期間抗凝固療法を行い定期的に心電図検査等で外来フォローする。




2-4.カテーテルアブレーションの合併症

1)心タンポナーデ
カテーテルで心臓の筋肉や血管を傷害することによって心臓の周りに血液が貯留してしまい、心臓の働きが障害される状態。緊急にドレナージが必要になることもある。

2)血栓塞栓症
焼灼された心筋表面で血栓が生じたり、熱により血液が沸騰して気泡が発生し、血流にのって血管につまることがある。それを予防するために術中、術後抗凝固療法を行ったり、過度に心筋組織を熱しないように注意深く心筋焼灼を行う。

3)房室ブロック
心房と心室を結ぶ正常伝導路が傷害された状熊で、房室結節リエントリー性頻拍でslow pathway選択的焼灼が行われるようになってからは1%未満であるが、重度の場合はぺースメーカー植え込みが必要となる。

4)再発
焼灼したい心筋組織のごく近くで高周波通電を行った場合、完全に焼灼されるのではなく、気絶したような状態となって電気の流れが生じなくなることがあり、ある程度時間が経って気絶した伝導路の機能が回復することがある。WPW症候群、房室結節リエントリー性頻拍の場合は10%以下の再発率である。

5)その他
大動脈弁閉鎖不全、カテーテル挿入部の血腫



2-5.カーテルアブレーションの実際

1)WPW症候群
WPW症候群に対する高周波カテーテルアブレーションの有効性はほぼ確立されている。現在では本例への成功率、安全性は非常に高いため、頻脈発作を有するWPW症候群はほぼ全例がアブレーションの適応と考えてよい。また、社会的必要性によっては頻拍の既往がなくてもアブレーションの適応となりうる。





2)房室リエントリー性頻拍(AVNRT)
この頻拍に対するカテーテルアブレーションも、WPW症候群同様確立された治療法である。Slow pathwayに対する選択的アブレーションの成功率は、WPW症候群と同様に高く再発も数%と低い。
AVNRTに対するカテーテルアブレーション
冠静脈洞入口部付近傍の三尖弁輪部に、アブレーション用先端large-tip電極を挿入し、房室結節遅伝導路電位(slow pathway potential,SPP)記録部位にて高周波通電を行い、SPの伝導の除去または障害によりAVNRTを根治する。

AVNRTに対するカテーテルアブレーション
冠静脈洞入口部付近傍の三尖弁輪部に、アブレーション用先端large-tip電極を挿入し、
房室結節遅伝導路電位(slow pathway potential,SPP)記録部位にて高周波通電を行い、
SPの伝導の除去または障害によりAVNRTを根治する。


3)心房粗動
1993年Cosioらは、下大静脈(IVC)−三尖弁(TV)間の興奮旋回路の解剖学的峡部を標的とするアブレーションを提唱した。すなわち、IVC−TV間右房壁をTV側からIVC側にわたって線状にアブレーションする方法である。


common AFLのリエントリー回路と
アブレーション標的部位(=1,2,3)
CS:coronary sinus
IVC:inferior vena cava
CT:crista terminalis
TT:Tadaro's Tendinae
TA:tricuspid valve annulus



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