目次
1.埋込み型除細動器
とは
2.高周波カテーテル
アブレーション
3.心臓ナビゲーション
システムを用いた頻拍症の電気生理検査について
4.ペースメーカー
とは…
5.臨床心臓電気生理学的検査
6.外来で行なう不整脈の検査

3.心臓ナビゲーションシステム(Electroanatomical mapping:Carto system)
 
を用いた頻拍症の電気生理検査について
 
医仁会武田総合病院不整脈科/池口 滋



不整脈の原因部位を調べる心臓電気生理検査(EPS)は従来レントゲン透視下にカテーテルを操作し頻拍の原因部位や頻拍の旋回回路を診断するのが、一般的な方法でした。
したがって症例によっては長時間のレントゲン被爆をうけたり、また頻拍回路が非常に複雑なものについては診断が困難であるケースもみられました。

こうした問題を解決し、より安全かつ正確に不整脈の回路とその原因部位を診断する方法としてあらたに1996年にイスラエルで開発されたのが、カルトシステムと呼ばれるカテーテルのナビゲーションシステムです。

このシステムはカテーテル検査台下に取り付けた磁場発生装置(ロケーションパッド:図1)により超低密度の磁場を作成し、専用カテーテル先端に組み込まれた磁場センサー(図2)によりカテーテルの3次元位置を誤差1mm以下の精度で測定するシステムです。

(ロケーションパッド:図1)


(磁場センサー:図2)

(カルトシステム:図3)
同時に電極より記録された心内心電図のタイミングも自動計測され、心内各点の3次元位置および興奮伝播のタイミングがコンピューター(カルトシステム:図3)に記録されます。

(アクティべーションマップ
:図4)
こうして次々に得られた情報をコンピューターが処理して、心臓の立体的画像の上に心筋の興奮伝播の詳細な情報が表示されます。
(アクティベーションマップ:図4)
心臓外科術後の心房粗動など、従来のレントゲン透視画像により行うアブレーションでは極めて困難であった頻拍症のアブレーションがこのシステムを用いることにより可能となりました。

また通常型心房粗動と呼ばれる三尖弁(右房・右室間の弁膜)周囲を旋回する心房性頻拍症の一種では三尖弁と下大静脈の間の心房筋を高周波通電し頻拍を根治しますが、心房筋の肥大肥厚が見られる場合には治療に難渋する場合もありました。磁場を用いたこのナビゲーションシステムでは、作成した3次元マップ上に心臓各部位の心電図の電位振幅を表示し(ボルテージマップ:図5)、振幅が低くアブレーションが容易な部位に沿ってカテーテルを誘導し、アブレーションの成功率を向上させることも可能です。


(ボルテージマップ:図5)
またこのボルテージマップは心臓内の瘢痕組織(心筋電位が全く観察されず興奮を生じない部位)の分布を明らかとし、複数の瘢痕組織の間で興奮旋回が生じて発生するマクロリエントリー頻拍でのアブレーション治療をもより容易にすることが期待されます。
WPW症候群や房室結節リエントリー性頻拍など従来のシステムで高いアブレーション成功率が得られている頻拍症治療では必ずしも本システムが必要である訳ではありません。しかし、心房粗動のような興奮が幅広く複雑な回路を呈しているような頻拍では、アブレーション治療の成功率を上げる有効な補助手段のひとつと言えるでしょう。
   
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