研究会の記録
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<演題7>
His束電位が低位で記録され、二重心房応答を介して誘発された
下位共通路を有する非通常型房室結節リエントリー性頻拍の一例

〈亀岡市立病院 循環器科〉      石橋一哉、松尾龍平
〈公立南丹病院 循環器科〉      栗山卓弥
〈明治鍼灸大学附属病院 循環器内科〉 堂上友紀


症例は77才男性。発作時の心電図は心拍数120bpmのlong RP’型の上室頻拍。
電気生理学的検査では頻拍は心房早期刺激、心室早期刺激、心室高頻度刺激により容易に誘発された。またHis束電位は冠静脈洞入口部よりやや低位で記録された。心房早期刺激では明らかなAH jumpを認めなかった。心室刺激時及び頻拍時の最早期興奮はHis束近傍であった。
心室早期刺激により逆伝導は減衰性を示し、心室早期刺激により誘発された頻拍はVA1A2Vで開始していた。A1、A2はいずれもHis束近傍が最早期興奮を示していた。
また頻拍時心室単一刺激により心房周期のリセットを認め、心房は遅い逆伝導路を介して捕捉されていた。さらに短い連結期の心室単一刺激により心房は捕捉されることなく頻拍は停止した。
またATP(10mg)静注により頻拍は房室ブロックにより停止し、頻拍停止直前にAV間隔は著明に延長していたが、心房周期は軽度の延長にとどまり、VA間隔はむしろ徐々に短縮していた。以上から心房頻拍及びSlow Kentを介する房室リエントリー性頻拍は否定され、二重心房応答を介して誘発される非通常型房室結節リエントリー性頻拍と診断した。
また頻拍時のATPによるAV延長と見かけ上のVA短縮は、房室結節内の下位共通路の存在及び二重伝導路と下位共通路におけるATP感受性の相違により説明可能であった。頻拍時の最早期興奮部位(His束近傍)において出力を調整して通電し、房室伝導に影響することなく逆行性遅伝導路は消失し、以後頻拍は誘発不能となった。ATPによる頻拍停止機序から、本例の遅伝導路のATP感受性は房室結節下位共通路に比し低いことが推察された。
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