研究会の記録
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〈2005年1月15日開催〉
I
Non-contact mapping system (Ensite)ガイド下に
sinus node modificationを施行した
inappropriate sinus tachycardiaの2例


京都桂病院 心臓血管センター内科
 
溝渕正寛、円城寺由久、山本龍治、小野 剛、舩津篤史、上林大輔、小林智子、中村 茂


 症例1は76歳男性。多発性骨髄腫の治療のため当院血液内科にて入院加療中であったが、動悸、ふらつきを訴え、心電図異常を指摘され当科受診。貧血、甲状腺機能異常なし。心電図では洞性頻脈と完全右脚ブロックと左軸偏位の2束ブロックの所見であった。HolterECGでは平均心拍数98bpm, 最大心拍数(安静時) 120bpm,Total heart beats133077/day。P波は心拍数によらず同一の洞調律波形であった。精査のため心臓電気生理検査(EPS)を施行。房室伝導は正常範囲内。心房頻回刺激後にoverdrive suppressionを受け頻拍は一時停止し、その後緩徐なwarming up現象とともに出現を繰り返した。また頻拍停止中は最早期興奮部位がやや下方に移動していた。Inappropriate sinus tachycardia(IST)の診断で後日アブレーションを施行。頻拍時最早期興奮部位は洞結節から2cmほど上方に位置しEnsite によるnavigation下に頻拍時最早期興奮部位を同定。同部位では体表面P波に最大で48ms先行しUnipolar記録でQS patternを呈した。通電開始後数秒間で心拍数は100bpmから60bpmへ低下し、洞調律へ復した。その後ISP投与でも心拍数は110bpm以下であった。
 症例2は24歳女性。動悸を主訴に当科受診。貧血、甲状腺機能異常なし。安静時にHR140-150bpmの洞性頻脈が確認されており、P波は心拍数によらず同一の洞調律波形であった。HolterECGでは安静時平均心拍数98bpm, 最大心拍数(安静時) 170bpm, Total heart beats127372/day。いずれも発症、停止様式は緩徐であった。ISTの診断でカテーテルアブレーションによる根治を希望され入院。EPSでは頻拍時の最早期興奮部位は当初上大静脈流入部近傍に認められた。Ensite systemによるnavigation下に頻拍時最早期興奮部位を同定。同部位では体表面P波に30msほど先行し、Unipolar記録でQS patternであった。しかし同部位での通電でも頻拍レートは変化せず、さらに詳細なmappingにて正常洞調律時に極めて近接した部位において最大38ms先行する最早期興奮部位を確認。同部位での通電開始後頻拍はslow downし、正常洞調律へ復帰した。その後ISP投与でも心拍数は110bpm程度までにしか上昇せず、洞不全症候群の合併も認められなかった。
 Inapproproate sinus tachycardiaにおいてNon-contact mapping systemによるnavigationは最早期興奮部位を短時間で同定可能であり、必要最小限の通電により洞不全症候群などの合併症の回避や通電回数の減少に寄与すると考えられた。また、頻拍時と正常洞調律時の心房内興奮伝播パターンの相違が本システムを利用することで明らかとなり、ISTの発生機序を検討する上で興味深い所見と考えられた。

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