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VI
Brugada症候群におけるICDの不適切作動をいかに回避するか

滋賀医科大学 循環器内科・不整脈センター
 
城日加里、芦原貴司、寺村真範、八尾武憲、杉本喜久、伊藤英樹、伊藤 誠、堀江 稔


 High riskの Brugada症候群患者に対してはICD植込みが唯一の確立された治療法であるが、移植後の不適切作動が比較的多いことが知られている。今回我々はICDの不適切作動を繰り返したBrugada症候群症例を経験したので報告する。
 症例は23歳男性。めまい、発熱後の十数秒の失神歴、家族歴に突然死(母方大叔母)あり。健診にて心電図異常を指摘され受診した。安静時心電図ではBrugada型心電図(Type 2)であったが、ピルジカイニド負荷試験にてtype 1へ変化した。右室流出路でのプログラム刺激(S1=600, S2=250, S3=220 ms)ではVFが再現性をもって誘発された。後日ICD(Medtronic MAXIMO DR 7278)植込み術を施行。心室(除細動)リードの電極はtrue bipolar(Sprint FidelisTM)を使用した。植込み時のR波高18.6 mV, 刺激閾値 0.6 V(パルス幅0.5 ms), P波高3.2 mV, 刺激閾値1.1V(同0.5 ms)であった。VF誘発テストでは20 J 1回で除細動に成功し、320 ms (188 bpm)以上をVF zoneとして除細動を設定した。植込み3ヶ月後、運動中に意識下でICDが作動したため当院受診。HR 190 bpmの洞性頻脈で作動しており、VF zoneを< 310 ms、SVT limit 300 msに変更し経過観察とした。しかし、その約一ヶ月後に4回ICDが作動しており、心室リードの心内波形では明らかなT波の増高は認めなかったが4回の作動すべてがT波のoversensingによる不適切作動であった。これ以外にもT波のoversensingによるNSVT、充電・内部放電などのイベント記録が1か月間に計37回あり、これらは日中に集中する傾向があった。R波高は8.8 mVと良好であったため、V感度を0.3から0.6 mVに変更し、現在までは特に問題なく経過している。
 Brugada症候群は時間的、空間的な脱分極・過分極の不均一性により、心電図上再分極相の変動を示すことが知られている。T波のoversensingは、ペースメーカーでもしばしば問題となるが、ICDでは頻回の電気ショックにより精神面への影響も含め深刻な問題となる場合がある。また、若年者に植込まれたICDでは、洞性頻脈からの不適切作動も少なくない。Brugada症候群におけるICDの不適切作動及びその対策について若干の文献的考察を加えて報告する。

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