研究会の記録
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VII
ジフテリア心筋炎の関与が疑われた広範な右房変性を伴った
徐脈頻脈症候群の一例

天理よろづ相談所病院 循環器内科
 
樋口貴文、貝谷和昭、坂本二郎、三宅 誠、本岡眞琴、和泉俊明、
 泉 知里、玄 博允、中川義久


【症例】74才男性。【主訴】動悸、労作時息切れ。【現病歴】数年前より労作時に動悸と息切れを自覚するようになるが次第に高度となり近医受診したところ心電図にて高度房室ブロックが疑われ当院紹介となった。【既往歴】ジフテリア(幼少時)。【心電図】P波は120bpmの異所性心房調律でWenchebach型の房室伝導.左脚ブロック。モニターで異所性調律停止時に約3秒のpauseあり基本調律となるもこの調律のP波の極性も異所性調律に近似していており洞調律の出現はなかった。【経過】EPS上基本調律はCSos近傍が起源と思われた。Wenckebach pointは100bpmであったがブロックの局在は房室結節でありヒス束以下の伝導障害の存在は認めず。三次元(Carto)mappingでは基本調律は房室結節近傍後中隔付近より興奮開始。右房は拡大を認め右房後側壁から洞結節が存在すると思われる高位右房にかけ広範に瘢痕組織となっていた。残存する右房心筋も変性の存在が疑われ中隔から右房側壁弁輪部周囲までの心房興奮は高度の伝導遅延を伴っていた。CSよりの連続刺激にて容易に頻拍は誘発されたがこの頻拍の起源は基本調律部位より1.5cm程後方に存在していた。その興奮伝搬形式より異常自動能による心房頻拍症と診断した。同部位への通電にて頻拍は停止し誘発不可能となったが基本調律の自動能は高度に低下しており症状の原因はSSSと診断、ペースメーカーの適応と考えた。右心耳の電位は残存していたが心耳のペーシングでは房室結節および左房までの伝導は高度に遅延する為Carto mapを参考に心房リードは下位心房中隔へ留置した。【考察】ジフテリア心筋炎は洞不全症候群の背景疾患として知られている。今回の症例では右房の拡大・変性を説明し得るシャント疾患や三尖弁逆流の存在はなく何らかの心房筋炎等の既往を類推するものでジフテリアの既往ありその際に心筋炎を合併しその後経時的変化も加わりSSSを合併した可能性が考えられた。今回の症例では簡単な左房mapでは異常はなくジフテリア心筋炎とSSSとの関連を考える意味においても示唆をもたらす症例と考えられた。

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