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肺静脈隔離術後の心房頻拍再発の一例
〈天理よろづ相談所病院 循環器内 〉
貝谷昭和、樋口貴文、坂本二郎、吉谷和泰、
三宅 誠、本岡真琴、和泉俊明、泉 知里、
玄 博允、
中川義久
症例は69歳の男性。平成16年2月頃より動悸発作を自覚するようになりホルター心電図にて発作性心房細動の診断を受ける。平成19年4月中旬より動悸・呼吸苦を伴う様になり頻脈性心房細動とうっ血所見認め利尿剤投与とレートコントロールを中心とした加療追加された後にpildicainideの定期内服を開始されるも洞調律に復することなくむしろ粗動化を促し頻脈のコントロールがさらに困難となり再度心不全傾向が進んだため紹介となりpildicainideの中止のうえアブレーション目的で入院となる。
7月11日に両側の広範肺静脈隔離術を行うとともにRA isthmusの線状焼灼を追加しセッション終了。
術後急性期に一過性の心房頻拍の出現を認めたが抗不整脈薬は無投薬とし退院1ヶ月後の再診時には症状は消失しており経過良好と評価した。しかし術後約40日経過した8月22日に突然の動悸発作を自覚し当院救急外来受診。その際約180bpmのnarrow QRS tachycardia認めた。心電図上II・III・aVf・ V1誘導でいずれも二峰性で幅広く極性より左房側壁起源の心房頻拍が推定された。レートコントロール開始するも頻拍は自然停止することがあるもすぐに単発の期外収縮から再開し次第に心不全の症状も訴える様になり再セッション目的でEPS・RFCAの適応と考え入院となる。
EPS開始時は洞調律であったが頻拍は自然誘発されまずCARTOでmapping。そのactivation mapは左下肺静脈の後壁下部からpropagationするfocal patternを示した。その後左上下肺静脈に多極リングカテを挿入し肺静脈隔離の状況を確認した。左上下肺静脈とも肺静脈電位を認め隔離は再発していた。左下肺静脈の興奮(Pi)をtriggerとし再現性を持って頻拍は開始していたがその後左房電位(LA)を認めたのちに左上肺静脈電位が興奮(Ps)する興奮順序で頻拍中のリングカテのシークエンスは一定であった(Pi→LA→Ps→Pi+1)。頻拍のCLは350ms、Ps→Pi+1間は160ms(totalCLの約46%)。頻拍が変化する可能性ありエントレインメントペーシングは行わなかったが隔離ラインのgapを介する頻拍と考え肺静脈隔離を優先し左房から肺静脈へ抜ける早期興奮部位に当たる上肺静脈前壁のroof付近の通電を行った。同部付近の数回の通電にてLA-Ps間の延長とともに頻拍のCLが延長しその後停止した。頻拍が停止した時点では上下とも肺静脈電位の隔離はされていなかったがいかなるプログラム刺激でも頻拍は誘発されなくなった。左房から上肺静脈への伝導はbystanderの可能性があった以上の所見より左房-上肺静脈間も頻拍の回路の一部であったと考えられた。最終的にCSペーシング下で肺静脈隔離を追加することとしたがCARTO map上で頻拍の最早期興奮部位と推察された左下肺静脈の後壁部分の通電で上下肺静脈同時に隔離された。右側の肺静脈は上下とも隔離されており心房細動の誘発もされずセッションは終了。その後細動・粗動の再発なく無投薬下で経過良好である。
肺静脈隔離後の心房頻拍として隔離不十分が影響した症例であったが隔離ラインが頻拍のsubstrateでなく上下肺静脈間の部位に頻拍のsubstrateが存在することが示唆された興味ある症例と考えられたので報告する。 |
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